Opinion; 時間をこえて (Noir)

歴史をふまえ、バランスのとれた時事考察を!

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  • | 2005-06-02 | 
  • “誤解”の構図; 反日と反共

    昨日、ドタキャン関連のエントリーで、ealstさんに以下のようなコメントを頂きました。

    昨今の中国の行動、言動により、日本の人は「中国が日本を侵略しようとしている」という認識を(それが正しいかどうかとは関係なく)もちつつあると思います。

    まして、反日デモで、あれだけの圧力をかけた後に、

    副首相が会談をドタキャン
      ↓
    これも靖国問題に関する圧力
      ↓
    日本への内政干渉の意図

    と日本や(あるいは第3国に)誤解されてしまう可能性があるのは、避けようがない。

    たとえ真実が別にあるとしても、その時の認識によって、歴史は動いていってしまいます。
    それどころか、場合によっては、積極的に誤解しようとする勢力もあるでしょう。自分たちの利益と政治的目標を追及するために、この誤解を最大限に利用しようとするでしょう。


    時事の核心に迫る、考えさせられる考察だと思います。
    そこで、今日は、私なりに、“誤解”を中心とする政治的現状を描いてみたいと思います。

    昨今、中国を強く批判する――内容の良し悪しは別として――政治家ほど支持率が上がって来ています。
    逆に中国では、北京が反日をすればするほど、“愛国心”――北京への忠誠――を高揚して、内政問題をうやむやにできるようになりました。

    この構図は、戦前の枢軸国と連合国の関係――枢軸の批判をすればするほど支持率があがる“民主的”な連合国の政治家 vs.国内の不満を連合国に責任転嫁する“独裁体制”の枢軸国――にそっくりです。

    結果、戦争をしました。
    戦後、ドイツに関しては、第一次大戦終了(ベルサイユ条約)直後から始まる、「国内の不満を連合国に責任転嫁する“独裁体制”」にならざるを得ないドイツの状況が連合国側に理解され、“誤解”を助長し利用した連合国にも反省をうながしました。日本に関して、このプロセスは、始まったばかりですね。

    話を今日に戻します。
    つまり、日中共に積極的に“誤解”しようとする勢力が政権を握っている状態です。
    こういう環境の中では、人々が“誤解”すればするほど彼等の個人的利益は上がりますから、両国の政治家たちにとって、日中共通の利益を探すどころか、双方とも歩み寄って話し合いをするメリットすら見出せません。

    政権を握る人々にとっては利益となりますが、それと同時にこの環境は、日中の大多数の人々にとっては不利益です。
    言論の自由のある日本のマスコミが、国民の利益を考えて、“誤解”の解明をしてくれるのが一番いいのですが、今のマスコミは、一概に言うと、日本側の“誤解”を助長(右)するか、中国側の“誤解”を助長(左)するかしかしていません。
    情報を日本のマスコミに求める以上仕方のないことですが、私の知る限り、多くのブログでも同じことが行われています。(もちろんブロガーには“誤解”を助長しようなんて政治的考えはないと思います。)

    ealstさんのおっしゃる通り、“たとえ真実が別にあるとしても、その時の認識によって、歴史は動いていってしまいます。”

    “誤解”が積み重ねられている現状から、私たちはどのようにして抜け出せるのでしょうか?
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  • | 2005-05-30 | 
  • ドタキャンの理由(まとめ); 靖国 vs.モンゴル

    先日の『自大主義?; 世界、中国、そして日本』及びそれに続くモンゴル関連のエントリーで述べた、「呉副首相のドタキャンの靖国という理由は、呉副首相の来日中、靖国関連の大勢に変化がなかったためおかしい。」と、「ドタキャンは広い視野で観ると、大勢に変化のあった対モンゴル政策の綿密な打ち合わせのため。」という私の考察に対し、渚のバラードさんに以下の反論を頂きました。
    中国政府が翌日になって「靖国参拝が問題だった」と公式表明した件については、中国政府部内の不統一が真の理由のように思われますが。

    貴兄が語るところの、モンゴル対応でドタキャンしたとするならば、こちらの方が余程論理性がないと僕は思います。彼女は、帰国当日も、民主党の岡田氏や、日経連の奥田会長と会見しており、小泉首相との会見(精々1時間程度か)を突然キャンセルしてまで、モンゴル対応のために急遽帰国したとは、非常に考え難いのです。しかも、羽田を発った後に到着したのは大連であり、そこで一泊しているそうですから、小泉首相に会見する時間がなかったとは、このことからも到底考えられないのですが。

    そこで、渚のバラードさんへのお返事と、私自身のこの事件に関するまとめの意味を兼ねて、このエントリーを新しく立ち上げることにしました。

    「中国政府部内の不統一」とは、“靖国は関係ない”派と“靖国が理由”派の間の力点が、前者から後者に移ったため、ドタキャンの理由が「靖国は関係ない」から「靖国が理由」になったと理解し、話を進めます。

    真実は渚のバラードさんのおっしゃる通りかもしれません。
    私にも、もちろん真相は分からず、推定しかできません。

    ただ、中国“国内の派閥問題”によって、翌日すぐに理由を変えるぐらいなら、つまり派閥間のバランスがそこまで微妙な状態だったのでしたら、最初に外務省から「帰国に靖国は関係あるか?」と聞かれたとき、「関係ない。」と断言はせず、例えば「靖国?靖国参拝は日中友好を築く妨げである。」というふうに、帰国と関係あるようでいて同時に関係ないような、後に好きなように説明できる――中国の好きな――言質を取られない、曖昧な回答をしていたのではないでしょうか。

    この最初の時点での受け答えは、とても重要なことで、最初は帰国理由を靖国にするつもりはさらさらなかったことを――つまり実際に靖国が理由ではなかったにちがいないことを――強く示唆しています。(それ以降の、北京の発言、もしくは○○筋によると○○などという裏の取れない情報は、政治的要因による捏造、隠蔽と誤魔化しの繰り返しでしかないはずですので、本当の帰国理由を考えるときには、基本的には無視するべきだと思います。)

    それに、理由を‘180度’変えなければならないほど派閥間の力関係に重大な変化あって、“敵性”派閥が強大になってのでしたら、大連などの地方都市で降りず、北京まで帰って、“敵性”派閥に忠誠を誓った後、モンゴルに発つのが普通だと思います。

    今回のモンゴルの選挙は、誰もが決選投票に持ち込まれると予想していました。北京もその予想に則って呉副首相の来日スケジュールを立てていたはずです。

    しかし、北京にとって内政上の問題によりモンゴルは日本より重要ですから、念のために、呉副首相が来日する前から、モンゴルの選挙の開票の進み具合によっては、いつでも緊急会議ができるように準備をしていたのだと思います。

    外遊中の呉副首相のためには、緊急で移動するには空と道の渋滞のせいで不便な北京より、比較的渋滞の少ない大連のほうが良いと判断し、CCTVを通じて会議に参加できる準備をしていたのでしょう。(ちなみに地理的に日本とモンゴルの間にある、河北・東北地方で、渋滞が“ない”大都市は大連だけです。)

    呉副首相自身は、自分の日本でのスケジュールをこなした後、前もって決められていた決選投票対策を持ってモンゴル入りをする可能性が高いと考えていたはずです。小泉さんとの会見だけをキャンセルしたのは、帰国命令が来て出国準備が整った時間が、たまたま首相と会う前だったというだけだと思います
    23日午前9時過ぎ、呉副首相と河野衆院議長が議長公邸で会談していた際、副首相あてに電話があった。副首相は「本国から急きょ帰国するように指示があった」と語ったという。谷内正太郎外務次官に対しては、同日午前、中国の王毅駐日大使から電話で「公務のため、本国へ帰る必要が生じた。他意はない」との連絡があった。(共同)

    このあたりで、もし私に「何時にモンゴルの選挙管理委員会が結果を出し、何時にマスコミに通達したか」というような具体的な数字が出せれば、私の考察への信憑性も格段に上がるはずなのですが、23日の正午前にはモンゴルのメディアが選挙管理委員会の結果報告を報道したことを知っているぐらいで、残念ながら正確な時間を知りません。

    北京には、東京と違い、何か起こると直ちに緊急会議を開き対処する習慣があります。(記憶に新しいところでは、北京の反日デモが自分たちの想定していたのより大きくなると、2時間後には首脳陣の緊急会議が開かれていました。)それに、呉副首相に「先約があるから会議を始めるのを1時間ほど待っていて下さい」と会議の開始時間を遅らせる決定権はもちろんないでしょうし、たいした内容などないと最初から分かりきっている小泉さんとの会合ですから、他の首脳陣を待たせる理由など考えられません。1,2時間の問題だったら待つはずという日本的な見解で、時間の長さより内容を重視する北京の行動を読むべきではないと思います。

    以上の点から総合して、『中国政府が翌日になって「靖国参拝が問題だった」と公式表明した』のは、“国内の派閥問題”ではなく、例によって日本のマスコミが何も考えず「靖国のせい?」「靖国!」と騒いでいたため便乗したと推定します。

    結局、事柄の性質上、推定の範囲を超えられないのですが、よろしければご意見をお聞かせ下さい。

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