Opinion; 時間をこえて (Noir)

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  • | 2005-05-31 | 
  • 中国がEUに武器を売ってもらう方法

    EUが、中国に対する武器輸出禁制を、来月6月に撤去することをあきらめました。
    もちろん、永久に禁止するわけではありません。「具体的に人権擁護政策を改善したら」という条件付です。しかも、親切なことに、“具体的”な改善案をふたつ挙げてくれています。


    ひとつは、「“再教育”を目的とした労働強制収容所をなくす」案です。
    中国では、司法と行政の両方が人を罰する権利を持っています。逮捕された人間は、警察によって、司法・行政のどちらのシステムに送られるか決められます。

    司法に送られた人は、弁護士と裁判を受ける権利を与えられ、有罪だと普通の刑務所に送られます。
    行政送りになった人…というより、行政の中にある警察当局に留められた人は、裁判もなにもなく、最高4年間、“再教育”を目的に、労働強制収容所に入れられます。

    労働強制収容所は、1957年から始められました。今現在30万人以上が、3百以上ある収容所に入れられていると推測されています。
    警察の権限で収容される人は決まるのですから、売春婦、薬物の常用者、ささいな犯罪を犯した人、法輪功信者、チベット自治区からの逃亡者、政治犯など、収容者は様々です。彼らには法律上の権利が全くないので、人権侵害だと批判されています。

    この労働強制収容所のシステムは、今まで、北京政府の政策に反対する人たちを沈黙させるのに大きな役割を果たしてきました。北京にとっては、これからも大いに活用していきたいところでしょう。


    ふたつめの改善案は、「国連の‘市民的及び政治的権利に関する国際規約’(国際人権規約)(国際人権B規約)に批准(加入する事)すること」です。これは、‘世界人権宣言’に法的拘束力をもたせるために、国連で採択された条約です。
    【追加】【注】国際人権規約は、『‘経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約’(国際人権A規約)』と『‘市民的及び政治的権利に関する国際規約’(国際人権B規約)』に分かれています。(050602)

    条約を批准するためには、国内の法整備をしなければなりませんから時間がかかります。ちなみに日本は、1966年の国連採択から、1979年の批准まで13年かかりました。
    しかし、一党独裁の国では、日本のように長々と議論する必要はありませんから、紙の上の法律をつくることぐらい、そんなに時間はかからないでしょう。

    ただ、問題となるのは、‘国際人権規約’には、個人が国連の人権委員会に、人権侵害に対する申し立てをする権利を認めた、‘選択議定書’というものが付いていることです。

    中国がこんなものを素直に批准した日には、国内では労働強制収容所を使って抑圧できたとしても、

    ニューヨークの人口=
    10億(申し立てのため不法入米した中国人)+少数(今の人口)

    と、なってしまいます。
    みなさん、北京はどうしたらいいのでしょうか?


    面白いことに、日本が答えを出してくれているようです。
    実は日本は、‘国際人権規約’に批准したときに、社会的権利に対する幾つかの点と、‘選択議定書’に関しては、留保(この点は受け入れないと言う事)しているのです。
    条約に批准すれば、‘選択議定書’が留保であっても、人権は改善されたとして武器を売ってもらえるでしょう。

    ところで、‘選択議定書’を留保するには、言い訳が必要ですよね。
    これも日本政府を見習えば大丈夫です。「人権委員会は、司法権の独立を損なう可能性がある」と言えばいいのです。

    国連の人権委員会は、申し立てられた件に関して、その国の政府(行政)に対して改善を求めるだけで、司法とは何の係わり合いもないのですが、そういう論理的な問題は、日本を見る限り気にすることはないようです。
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    コメント

    む?

    国連の人権委員会が何も言わなくても、「自由と民主主義」を旗印に掲げる諸国が、共産党独裁体制の国に甘い顔をするはずがない、政府がその気(甘い顔)になってもNGOが文句をつけにくる。
    ・・・と思うのです。

    日本の場合は、「1953年からは確実に民主主義の国」と思われているし、冷戦の前線国家のひとつ(今でも)なので「まあ、そういう事情があれば仕方ない」

    明らかに独裁体制の中国とは、欧米諸国の接し方が違ってくると思うのです。

    それに、
    軽く調べただけなんですが、
    国際人権規約 ↓
    http://homepage2.nifty.com/e-jinken/data/jinken-kiyaku-A.html
    日本政府の反論 ↓
    http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kiyaku/ksb_kenri.html

    日本が留保している箇所はそんなに深刻でない場所。
    という私の判断です。

    中国の人権侵害に対する批判は、これとは比較にならないほど厳しくなると予想されます。

    返事

    >ealstさんへ
    コメントありがとうございます。

    ealstさんがおっしゃる通り、EUの武器輸出を再開しようという動きに対して、NGOとアメリカが文句を付けまくっています。
    しかし、中国が本当にいくらかでも具体的な人権擁護の改善を行うと、現状が現状ですから、「これだけ改善したんだから、いくらか“アメ”をあげてもっと改善するようにし向けよう」という見解が――たとえ本音はお金儲けであっても――正当化されるにちがいないと思います。
    日本だって、人権の話とは違いますが、核問題に関してたいした改善のないまま、パキスタンを許そうと動いています。


    実はこのエントリーで日本を引き合いに出したのは、中国と比べてもらいたいからではなく(中国が人権の面で日本に追いつくのには2世代はかかるでしょう)、日本が‘選択議定書’を――他の先進国と違って――留保している事実を知ってもらいたかったのと、それの意味することについて考えてもらいたかったからです。

    国際人権規約は、『‘経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約’(国際人権A規約)』と『‘市民的及び政治的権利に関する国際規約’(国際人権B規約)』に分かれています。
    今本文を見て「B」が抜けていることに気付きました。(本文を訂正し、【注】を入れました)。
    ealstさんのコメントと外務省リンクは、前者、A規約についてですね。EUが提案しているのは、後者、B規約の方です。

    国際人権A規約の留保している点に関しては、ealstさんのおっしゃる通り、私も今の日本の現状を見る“深刻でない”と思いますので、「社会的権利に対する幾つかの点」と述べたに留まりました。それにしても、「軽く調べただけ」で鋭い要点の把握力ですね。

    混乱の原因を作ってしまい申し訳ありません。
    すみませんでした。m(._.)m

    こちらこそ勉強になります。

    いや、こちらこそ勉強になります。

    ありがとうございました。

    それにしても、
    この条文や締約国一覧をみてると、国際連合(連合国)の無力さが仄見えてきてしまいます。

    それでも無いよりはあったほうがマシ、と考えますが、
    「国際人権規約」があるから大丈夫! とよりかかれるモノではない。
    と、私は思うのです。

    返事

    >ealstさんへ
    こんにちは、ealstさん。
    返事遅くなってごめんなさいね。
    最近は国連抜きで戦争をしても正当化されるぐらいですから、無力ですよね~。それに、おっしゃる通り「国際人権規約」にしたって、たとえ‘選択議定書’を受け入れていても、罰金などがあるわけでもなく、改善を求める手紙を受け取るだけですから、強制力がなく非力ですよね。

    でも、日本の将来を考えると、ビアンカさんが、『“誤解”の構図』のコメント欄でおっしゃっられているように、日本で仕事をし生活する「外国人がますます増えるでしょう」。
    そんなとき、今議論されている国内の‘人権擁護法’では客観性に欠けるため、外国人が安心できるとは思えません。(日本人にとっても安心できず、反対意見が多数あるようですね)

    人口の増加が止まった先進国の間で、高学歴の移民の取り合い競争が始まってしまった今となっては、日本をより魅力的に見せるために――人権擁護は最低でも国際水準であること証明するために――「日本はあなたの人権を保障します。万が一問題があっても国連の方まで申し出る権利もありますから、安心していらして下さい」と言えるようにするために、‘選択議定書’は必須だと思います。

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